宅建業の免許が取れる事務所とは

宅建業免許を取る際には、必ず事務所を設けなければなりませんが、どのような物件でも宅建業の事務所として認められるわけではなく、一定の条件をクリアしなければ免許はおりません。

そこで、宅建業免許をうけるためにはどのような事務所を用意すればよいかを説明します。

事務所の要件

宅建業の事務所は、次の2つの要件を満たす必要があります。

  1. 業務を継続的に行なえること
  2. 事務所として認識される程度の独立性を備えていること

レンタルオフィスの使用について

レンタルオフィスを借りる場合には、賃貸借契約のような長期間の契約ではなく、1か月ごとの使用承諾の形で契約を結ぶことになるケースが多くあります。こうしたケースでは、上記の事務所要件の1番を満たせないのではないかと心配される方もいらっしゃるかと思います。

しかし、東京都などの多くの自治体で、レンタルオフィスでの免許取得を認める事例がたくさんあります。ただし、レンタルオフィスを借りる場合であっても、一部屋を大人数でルームシェアする形では免許はおりません。少なくとも180センチメートル以上のパーティションで間仕切りされていて、入り口にドアがあるレンタルオフィスを借りましょう。また、宅建業免許を取得するためには、応接スペースも必要ですので、共同スペースでも構いませんから何らかの応接スペースがある物件が必要です。

また、オフィスの面積にも注意を払う必要が有ります。
確かに、レンタルオフィスでは、共用の応接スペースがあることから、オフィス内の広さは代表者兼専任の取引士の1名分の事務スペースがあればよいとも思えます。
しかし、レンタルオフィスであっても、事務所内に事務スペース及び応接スペースがあることが必要とされますから、狭い部屋の中に小さなデスクと椅子一つでは、宅建業の事務所としては認められないことがあります。

さらに、来客の対応は宅建業の事務所内で行うことができる必要があります。
オフィスの利用規約で、事務所内への来客の立ち入りを禁止するような条項が付いている場合は、そのままでは免許が取れない場合があるため注意が必要です。

また、オフィス内は一年を通じて、土日夜間を問わず入室ができなければなりません。オフィスの規約で休日の立ち入りができない場合は、宅建業免許が取得できない場合が有りますので注意が必要です。

自宅兼事務所

自宅兼事務所で免許を取るケースは、事務所としての独立性が問題になることもありますが、こうした自宅兼事務所でも宅建業免許を取得できる可能性があります。

ただし、居住部分と宅建業の事務所は明確にわかれていることが求められますので、例えば事務所から居住部分に直接通じるドアがある場合は独立性が認められませんので注意が必要です。

その他の条件としては、次の条件を満たしている部屋を宅建業の事務所としてください。

  • 事務所専用の部屋であること
  • 家の玄関を入って、廊下を通り、居住部分を通らずに直接事務所にたどり着ける間取りであること
  • 事務所入り口ドアのほかに、居住スペースに通じるドアがないこと

なお、千葉県など自治体によっては、自宅の建物1階に事務所を置く場合であっても、建物2階の間取りの状況によっては事務所の要件を満たすことができないケースがあります。

上記の条件を満たす物件であれば、一戸建て住宅はもちろんマンションの一室を使用する場合であっても宅建業を開業することができますが、微妙な判断が求めらえる事例もありますので、事前の確認が必要です。

事務所の共同使用

一部屋を複数の会社でシェアする形で宅建業免許を申請することはできません。

したがって、こうした場合は間仕切りをすることはもちろん、宅建業免許を取得する会社専用の入り口ドアを新たに設けない限り、宅建業免許の事務所としては認められません。

不正手段は禁止

近年、行政庁の免許申請は書面審査で済んでしまうので、不正な方法で免許申請書を提出して申請を通してしまう人がいという噂を耳にします。

こうした状況もあり、東京都の審査においても、事務所内部の写真の撮り方についてより細かく指示がなされる傾向にあります。

かりに都道府県庁の窓口審査を通すことができた場合であっても、不動産協会等を利用する場合には支部から事務所調査が入りますし、免許取得後もいろいろなルートで不正行為を通報されて、最悪免許取り消しということも十分考えられます。

宅建業免許は取り消されてしまうと最低5年間は免許を取り直せませんから、今考えている物件が宅建業免許の事務所で使えないケースに該当するのであれば、絶対に無茶なことはせずに他の物件を探しましょう。