不動産会社の設立の流れをまとめました。定款を作る場合には、電子定款認証を利用するケースと、紙ベースで定款を作成して認証を受けるケースがあります。定款を紙ベースで作成すると、4万円の収入印紙を添付して定款認証を受ける必要があることから、現在では電子定款を利用して会社を設立することが多いです。

今回は利用者の多い、電子定款で定款認証を受ける流れを確認しましょう。

会社名の決定

会社の定款の内容や登記簿の記載内容はほぼ定型化されているものの、会社の商号(会社の名称)だけは自分で決めなければなりません。

会社のロゴも併せて検討しておくとよいでしょう。専門の業者に依頼すれば、格好のよいロゴを作ってもらえますから、こうしたサービスを利用するのもひとつの方法です。こうした事業に必要となる費用は、会社の設立前のものであっても損金として計上できます。

会社の実印の発注

会社の実印・銀行印・角印の3点セットを注文します。銀行印や各印は必須ではありませんから、必要に応じて作成しましょう。

ネットで3,000円程度~で購入できますが、木彫りのものは数年立つと色がさめてくることもあります。また、機械彫りの品を注文してしまうと、簡単に複製できますから、少々金額が上がりますが手彫りの印鑑を作成しておくと安心です。

発起人・取締役の印鑑証明書の手配

発起人と取締役の印鑑証明が各1通必要です。(1通300円程度)。

印鑑証明書は原本還付請求をすれば返却してもらえますから、発起人と取締役が同一人物の場合は、公証役場に提出した印鑑証明書を変換してもらえば1通用意すればよいことにないます。

また、取締役会を設置する場合には、発起人と代表取締役の印鑑証明書が必要になります。細かいルールは法務局や関連書籍で確認しましょう。

定款の作成

会社の定款を作成します。インターネット上の無料のひな形でも問題ありません。ただし、宅建業を営むのであれば、目的欄に宅地建物取引業を営む旨の記載が必要です。

また、定款に事業年度を記載する場合は、その記載内容に間違いがないように注意しましょう。

定款を紙で作成すると印紙代として4万円かかりますが、電子定款だけをやってくれる業者に頼めば1万円弱で済みます。

公証役場での定款認証

公証役場に行って定款の認証をしてもらいます。

公証人の手数料は概ね52,000円程度です。この際、公証人は定款内容までは精査しませんから、時間的にはあっさり終わる手続きです。

登記申請書類の作成

登記に必要となるさまざまな書類を用意します。インターネットや書籍などで調べれば自分で用意することもできます。

司法書士に依頼する場合は5万円から8万円が相場です。司法書士に依頼する場合は、定款認証も合わせてやってもらったほうがよいでしょう。

資本金の振込み

発起人の代表者個人の講座に資本金を振り込みます。

登記申請書の提出

法務局に行って、申請書を提出します。法務局に書類を提出した日が会社の設立日になります。毎月1日を避けると、6000円ほど節税できますが、額が多くはないのでそれほど気にする必要はありません。

登記申請書には15万円分の収入印紙を貼ります(資本金によって額が変わることがあります)。印紙は法務局の売店で購入できますが、郵便局でも手に入れることができます。

法務局の窓口では、申請書の中身までは審査されません。審査の途中で書類に不備があれば、申請書の記載した連絡先に電話連絡があります。

登記の完了・印鑑カードの受取

登記申請書に特に問題がなければ、1週間~10日程度で登記が完了します。登記完了予定日までに法務局から何も連絡がなければ、印鑑カード交付申請書を法務局に持参して、銀色の印鑑カードを受け取ります。

すべてを自分でやった場合の必要時間

会社設立の手続きは決して難しくはないものの、なかなか面倒な作業の連続です。もし一から自分で会社設立をするとなると、必要な情報の収集や、書類を用意する時間を合わせると、30~50時間ほとかかるのではないでしょうか?