宅建業を営むには供託又は協会への加入が必要
行政庁の宅建業免許申請の審査が完了すると、事務所に免許通知のはがきが免許が届きます。しかし、これで宅建業免許証が発行されるわけではなく、宅建業を営む事務所ごとに営業保証金の供託又は保証協会へ加入の手続きが必要です。
この手続きが終わると、宅地建物取引業の免許証が交付されて事業を開始することができます。
営業保証金の供託を行う場合であれば、本店で1,000万円、支店についてで500万円の供託が必要です。
一方、保証協会への入会すれば、本店で60万円、支店で30万円の弁済業務保証金分担金を納付することで宅建業を始めることができます。そのほか保証協会に加入する費用として、入会金や年会費などを含めて入会初年度に100万円近く納付する必要はあるものの、供託に比べれば金銭的負担が軽いため、保証協会に加入して不動産業を始めるのが一般的です。
こうした保証協会は、宅地建物取引業協会(鳩のマーク)か全日本不動産協会(ウサギのマーク)の2つの協会がありますが、このどちらに加入するかは悩みどころです。
宅地建物取引業協会と全日本不動産協会
宅地建物取引業協会
全国宅地建物取引業協会連合会は、昭和42年、各都道府県に設立されている全国47都道府県の宅地建物取引業協会(宅建協会)の全国組織として設立されました。
宅建協会の会員である宅地建物取引事業者の数は、全国で約10万社にのぼり、不動産業界における国内最大の団体とされています。
全国の宅建業者数は、およそ12万2,000社ほどありますので、全国レベルでは宅建協会は9割程度の圧倒的なシェアがあることになります。
全日本不動産協会
全日本不動産協会は、昭和27年10月に設立された歴史のある団体で、全国に47の都道府県本部を設置しています。
加入業者数は、全国レベルでは宅建協会に比べて規模は少ないものの、東京都の例でみると、直近の都内の宅建業者約23,000社のうち、全日本不動産協会の加入者は約8,800社となっており、両協会の加入者は拮抗しつつあります。また、当事務所の新規開業のお客様についても、多くの事業者様が全日本不動産協会に加入されております。
両協会のどちらに加入するか
規模の上では宅建協会のほうが大きいといえますが、両協会に加入すると受けられるメリットに違いはありません。例えば、弁護士による相談サービスや契約書ひな形・協会看板等の営業ツールの配布は両協会ともに提供しているケースが多いです。
以前は、宅建協会の加入には推薦状が必要とされていることもありましたが、近年では、東京周辺では推薦状の提出を求めていないようです。結局多くの新規加入事業者の皆様は、初年度入会費用を基準にしたり、お知り合いの宅建業者と同じ協会であることを理由に加入する協会を選択されていらっしゃいます。
なお、初年度入会費用については、インターネットの価格だけではなく、実際に加入を検討中の支部に連絡をして費用を確認することをお勧めいたします。なぜならば、新規入会促進キャンペーンを行っている場合があり、入会費用の減額や特典サービスを提供していることがあるからです。
協会を選択する際のポイントについては、例えば次の基準がありますので、ご検討の際の参考にしてはいかがでしょうか?
- 初年度入会費用
- 政治団体の加入費用
- 初年度費用の支払い時期
- 免許通知が届いてから協会の加入手続きがすべて完了するまでの期間
- 取引にトラブルがあった際のサポートの内容