専任の宅地建物取引士の設置基準
宅建業の事務所において、宅建業に従事する者の5人に1人は専任の宅地建物取引士である必要があります。
専任の宅地建物取引士が退職するなどして、上記の人数を欠いた状態になることがあります。また、専任の宅地建物取引士の宅地建物取引士証の有効期間が切れていた期間についても、専任の宅地建物取引士が欠けた状態となります。
もし、このように専任の宅地建物取引士が欠けた状況になってしまった場合は、どのような手続きをするべきかを以下で解説します。
専任宅建取引士が欠けていた期間が2週間以内であった場合
宅建業法では、専任の宅地建物取引士の数が足りなった場合は、2週間以内に「適合させるため必要な措置を執らなければならない」とされています。
ですから、前任者が退職した後2週間以内に新たに専任の宅地建物取引士を雇用したり、又はその事務所の宅建業に従事する者の人数を減らすことができれば、問題なく営業を継続することができます。ただし、専任の宅地建物取引士が交代するなどして、変更が生じた際は、宅建業免許の変更届を提出しなければなりません。
また、宅建取引士証の有効期間が切れた場合も、その切れていた期間が2週間以内であれば、上記と同様に宅建業法のルール上は問題ないことになります。ただし、宅建取引士証が必要になる取引はすることができません。
本来は、取引士証の有効期間が切れていた2週間は専任の宅地建物取引士が欠けていたわけですから、専任の宅地建物取引士の変更届(一度退任して再度同一人物を就任する旨の変更届を提出しなければならないはずです。しかし、東京都庁の扱いでは、取引士証の有効期間が切れていた期間が2週間以内であれば、専任の宅地建物取引士の変更届の提出は不要とされます。ただし、免許の更新の際に、取引士証の有効期間が切れていた2週間について『始末書』の提出をしなければなりません。
専任宅建取引士が欠けていた期間が2週間を超える場合
専任の宅地建物取引士が欠けた期間が2週間を超える場合は、もはや宅建業の事務所を開設してはいけない状態になります。ですから、この場合は速やかに従来の専任宅建取引士が退任した旨の変更届を提出しなければなりません。
この場合、宅建業の事務所に専任の宅地建物取引士が欠けた状態になりますから、その事務所で宅建業を営むと違反行為となります。
専任の宅地建物取引士が欠けたまま放置した場合
本来あってはいけないことですが、宅建業免許の更新の際に専任の宅地建物取引士が数カ月欠けていたことが発覚するケースがあります。特に、宅建業免許がついた休眠会社を引き継いだケースがこれに該当することがあります。
そうした場合は、そのままでは宅建業免許の更新をすることができません。
専任の宅地建物取引士が不存在であった期間に、宅建業の取引をしていないか、さまざまな資料を都道府県庁に提出しなければなりません。
東京都のケースでは、宅建従事者名簿、宅建業の帳簿、決算書、宅建従事者証などの資料を提出して違反行為の有無が確認されます。
調査の結果、取引士が不在の間不適切な取引があったと認められた場合は、何らかの行政指導、行政処分を覚悟しなければなりません。『監督処分』をうけてしまうと、処分の内容はホームページで公開されてしまいます。専任の宅建取引士が欠けた状態でその事務所で宅建業を営んだことが発覚した場合は、監督処分を受ける可能性が高いように思えます。
他方、専任の宅地建物取引士が不存在の間に不正な取引がなかった場合であっても、勧告(行政指導)がなされる可能性が高いです。